死亡事故のご遺族の方へ
死亡事故で大切なご家族を亡くされたら、ご心痛は察するに余りあるものです。
愛知県や名古屋市では交通事故が多いため、当事務所でも死亡事故のご遺族さまからご相談を受けるケースが多々あります。
被害者の無念に少しでも報いるため、正当な賠償金を受け取るべきです。精神的に厳しい場合にも弁護士が寄り添いサポートいたしますので、まずは一度ご相談ください。
死亡事故特有の問題や対処方法、賠償金の考え方についてご説明します。
死亡事故とは
死亡事故は、被害者が死亡してしまった交通事故をいいます。
即死のケースだけではなく、しばらく治療を行った結果回復せずに死亡した場合も死亡事故です。
死亡事故で示談交渉を行うのは相続人の代表者
死亡事故では、被害者ご本人は死亡してしまっているので、示談交渉を進められません。
示談交渉を行うのは「相続人」です。
民法は、以下の人が相続人になると定めています。
配偶者は常に相続人
法律上の妻や夫が相続人となります。内縁の妻や夫には相続権がないので、示談交渉を行ったり賠償金を受け取ったりできません。ただし自賠責の保険金は内縁の配偶者にも支払われます。
配偶者以外の相続人
配偶者以外の相続人には順位があります。
子どもが第1順位
子どもがいれば、子どもが優先して相続人になります。子どもが先に死亡していて孫がいたら、孫、孫も死亡していてひ孫がいたら、ひ孫が相続人となります。
親が第2順位
子どもや孫などの直系卑属がいない場合、親が第2順位の相続人になります。親も死亡している場合、祖父母、祖父母も死亡していたら曽祖父母が相続人になります。
兄弟姉妹が第3順位
子どもなどの直系卑属も親などの直系尊属もいない場合、兄弟姉妹が第3順位の相続人になります。兄弟姉妹が先に死亡していて甥姪がいる場合、甥姪が相続します。ただし甥姪の子どもは相続人になりません。
相続人の代表者を定める必要がある
保険会社と示談交渉を進める際には、相続人の代表者を定めなければなりません。
相続人が複数いる場合、話し合って代表者を決める必要があります。相続人同士で代表者を決められなければ、示談交渉を進められません。
相続人全員が弁護士に依頼すれば、弁護士が窓口となってスムーズに示談交渉を進めやすくなります。
死亡事故で請求できる慰謝料や賠償金
死亡事故の遺族は、加害者に対して以下のような賠償金を請求できます。
葬儀費用
被害者の葬儀にかかった費用は交通事故がなかったら発生しなかった損害といえるので、相手に請求できます。
葬儀社へ払った費用やお花代、読経代、お食事代などだけではなく、仏壇仏具の購入費用や遺体搬送費用、お墓の建立費用なども請求できるケースがあります。
自賠責保険の場合、支払われる葬儀費用は100万円までですが、弁護士基準であれば150万円程度まで払われるのが一般的です。個別事情により、200万円程度までの葬儀関係費用が認められる可能性もあります。
死亡慰謝料
交通事故で死亡すると、被害者は極めて大きな精神的苦痛を受けるものです。被害者自身の慰謝料以外にも、大切なご家族を失った遺族に固有の慰謝料が認められます。
遺族は、本人の慰謝料と遺族固有の慰謝料の合計額を相手に請求できます。
弁護士基準の場合、死亡慰謝料の金額の相場は以下の通りです。
- 被害者が一家の支柱…2800万円程度
- 被害者が母親や配偶者だった…2500万円程度
- その他のケース…2000万円~2500万円程度
自賠責基準の場合、本人の慰謝料は一律「400万円」で、遺族の慰謝料は遺族の人数や被扶養者の有無によって変動します。遺族固有の慰謝料は「550万円」(遺族が1人、被扶養者なし)~「950万円」(遺族3人以上、被扶養者あり)の幅となるため、本人の慰謝料と合計すると死亡慰謝料の総額は「950万」~「1350万円」となります。
任意保険会社基準では自賠責基準よりは高額になるケースが多いですが、弁護士基準よりは大幅に下がるのが一般的です。
死亡逸失利益
死亡逸失利益は、本人が死亡して働けなくなったために得られなくなった将来の収入に相当する損失です。
死亡したら、本人は一切働けなくなるので、本来得られたはずの収入を得られなくなってしまいます。そこで失われた収入を損害として相手に請求できるのです。
ただし死亡すると生活費がかからなくなるので、生活費の割合は控除されます。
死亡逸失利益を請求できる人
死亡逸失利益を請求できるのは、基本的に事故前に働いていた有職者です。
無職だった場合や不労収入で生活していた場合、基本的に逸失利益を請求できません。
ただし子どもや学生、専業主婦(主夫)、年金生活者にも死亡逸失利益が認められます。
一時的に失業していた方の場合にも、就労の可能性が高ければ逸失利益を請求できる可能性があります。
死亡逸失利益の金額
死亡逸失利益の金額は、被害者の事故前の収入額や年齢などの要素によって異なります。
高額な場合には1億円を超えるケースも珍しくありません。
具体的な金額を知りたい場合、弁護士が試算いたしますのでお気軽に相談ください。
その他の賠償金
被害者が即死せず、しばらく治療を受けてから死亡した場合には以下のような慰謝料も請求できます。
- 治療関係費
死亡するまでにかかった治療費や付添看護費、入院雑費などの費用です。 - 休業損害
死亡するまでに発生した休業損害も相手に請求できます。 - 入通院慰謝料
死亡するまでの治療日数に応じた入通院慰謝料です。
物損
事故で車が壊れた場合には、修理費用や買い替え費用などの物損も請求できます。
死亡事故の注意点
死亡事故に対応するときには、以下の点に特に注意すべきです。
過失割合が適正になりにくい
一般の交通事故の場合、被害者が事故現場で実体験しているので、被害者自身が事故状況を説明できます。実況見分にも同席して警察官へ意見を言えますし、加害者が自分の都合の良いように虚偽を述べても訂正できるでしょう。
しかし死亡事故の場合、ご本人は死亡しているので事故状況を説明できません。
加害者の一方的な主張によって事故状況を定められ、被害者側の過失割合を高めに設定されてしまう可能性があります。
被害者の利益を守るには、事故状況を明らかにする証拠を集めて適正な過失割合を算定する必要があります。
遺族がまとまる必要がある
相続人が複数いる場合、遺族全員がまとまらなければ賠償金の請求は困難です。
他の相続人と疎遠な場合、仲が悪い場合などには示談交渉を進められない可能性が高まります。
賠償金の請求権には時効があるので、いつまでも放っておくわけにはいきません。
早めに意見をまとめて示談交渉を進めましょう。
他の相続人と連絡をとりにくい場合や意見がまとまりにくい場合、弁護士までご相談ください。
賠償金の分け方
死亡事故で遺族が賠償金を受け取ったら、分配しなければなりません。
基本的には「法定相続分」にそってわけるのが公平です。
ただし話し合いで全員が納得すれば、別の割合にしてもかまいません。
死亡事故後の流れ
死亡事故に遭ったら、以下の流れで対応を進めましょう。
相続人調査
被害者が死亡したら、相続人調査をしなければなりません。
相続人調査とは、亡くなった方の戸籍謄本類を集めて精査し、相続人を確定することです。
多くの戸籍謄本を集めなければならないので手間がかかり、戸籍謄本を読み解く労力もかかります。正確に調べなければ示談交渉や遺産分割協議も進められません。
弁護士に依頼するとスムーズに進められるので、お困りでしたらご相談ください。
示談交渉を始めるタイミング
死亡事故で示談交渉を開始するのは、一般的に49日の法要が済んだ頃です。
配偶者などの遺族に保険会社から連絡が来るケースもよくあります。
ただし相続人の代表者が決まっていなければ示談交渉を開始できません。
示談交渉
相続人の代表者が決まったら、示談交渉を始めます。
過失割合や賠償金の金額などの条件について合意ができれば示談が成立します。
賠償金の分配、遺産分割協議
示談が成立したら、保険会社から代表者へ賠償金が支払われます。
受け取った賠償金は、遺族間で分配しなければなりません。自分たちで話し合って誰がどれだけ受け取るか決めましょう。他の遺産と同時に遺産分割協議で分配方法を定めてもかまいません。
死亡事故の対応を弁護士に依頼するメリット
賠償金が増額される
弁護士が示談交渉に対応すると、遺族が行う場合より賠償金が増額されるケースが多数です。弁護士が示談交渉する場合には、保険会社基準より高額な弁護士基準が適用されるからです。死亡慰謝料についても1000万円以上の差額が出るケースが少なくありません。
被害者に高めの過失割合をあてはめられた場合でも、弁護士が事故状況を調べて適正な過失割合を定めれば、不当に賠償額を減らされる心配もなくなります。
被害者の権利を適正に実現するためには弁護士によるサポートが必要です。
精神的負担も軽減される
事故で大切なご家族を失ったご遺族の中には「事故のことは思い出したくない」「示談交渉が苦痛」と感じられる方も多数おられます。弁護士に依頼すれば自分では示談交渉をしなくて良いので、ストレスも大きく軽減されます。
当事務所では死亡事故を含む多くの交通事故の案件を解決してきた実績がございます。
名古屋で重大事故に遭われた方やご遺族様は、ぜひとも一度ご相談ください。